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2020 夏号 Vol.112

税務・法律・人事・労務管理相談

相続税の節税対策~3つのポイント~

相続税が課税されるほどの財産をお持ちの方は、相続税が気になるでしょう。そして、相続税を少しでも安く出来ないかと「節税対策」に奔走します。
相続税はなるべく少なくしたい、誰もが思うことです。そのためには大きく3つのポイントがあります。

【1】相続財産を減らす

贈与(暦年贈与、配偶者への贈与、住宅取得資金の贈与、保険金の贈与)を活用する。
墓地等の非課税財産の購入、寄付金など。

【2】税法上の制度を利用する

生命保険の非課税枠の利用、養子縁組をして法定相続人を増やす、配偶者の税額軽減の利用、小規模宅地等の特例の利用など。

【3】財産の評価を下げる

現金や預金を不動産に替える、事業用土地・居住用土地・貸付用土地の利用区分、更地に事業用建物を建てるなど。
上記節税対策には生前のリスクもきちんと理解しておく必要があります。借入金をしたり、地権者の存在が出来たり、色々な事象を考えなくてはいけません。一番いけないことは、勉強熱心よろしく様々な業者が主催している相続無料セミナー等に足繁く通い、我が家 に合った対策ではなくて、無料セミナーの手法に無理矢理我が家を合わせて対策を講じてしまうことです。
なぜ無料セミナーなのかをよく考えてみてください。先ずは専門家による相続税や相続財産の棚卸し等の計算をしてもらうことをお勧めします。すると、それは料金がかかるじゃないか!と言って、数万円の手数料をケチって、無料セミナーに行って数億円の契約をしてしまう方もいらっしゃいます。本末転倒です。
さて、これら節税対策等は、大抵の場合、家長の方がお一人で考え、決めているものです。
更に言えば相続税を支払うのは、家長の方ではなく、相続人の方々です。家長の方が良かれと思った相続対策を施しても、実際に相続税を支払う相続人の意思は無視しての相続対策ですから、相続人にとっては、ある意味「後始末」的な感がぬぐえないなどという相続も多々あります。
ある程度の基本的な「相続税対策」が必要であることは間違いありませんが、相続税を安くしようとする考えが高じるあまり、相続人の未来の事まで考え過ぎてしまうことがあるようです。
ある方は、長男に「孫は近くの大学に行かせなきゃならないから、今住んでいるマンションは、数年のうちに引き払いなさい、将来この土地をあげるからそこに住め、建物も私が銀行からお金を借りて建ててやる。」と言いました。確かに相続税が安くなることには間違いありません、そしてもちろん長男に経済的な負担をかけさせずに、父親名義の土地に父親名義の建物を建ててあげて住ませてあげようという親心で言ったことのようでした。
しかし「なぜ子供の将来や、住む家の場所まで義父さんに決められなければいけないんですか!」と長男の奥さんは大激怒。「そんなお気持ちがあるならば、その評価額の分をお金でください。」とまで言われてしまい、おかげで長男夫婦とは疎遠になってしまいました。
そこに現れてきたのが次男夫婦でした。「兄貴がその土地に住まないならば、我々夫婦がそこに住むから建物も建ててよ。」と言われ、銀行やハウスメーカーが言う様に相続税が安くなるわけだから良いだろうと次男夫婦に建物を建ててあげました。
さて、相続が発生しました。長男夫婦は先般の土地評価額相当の財産を要求します。遺産分割協議が難航したのは言うまでもありません。父親が色々考えてせっかく安くした相続税を支払うどころではありませんでした。
これは家長の方が、相続後の事、未来の事を、相続税を安くしようとするあまり、相続発生前にやってしまって起こさなくてもよい相続争いを引き起こしてしまったケースです。
相続税対策・相続対策において、こちら側で勝手に、相続人の未来を巻き込んで考えてはいけないということです。