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2015 新春号 Vol.90

営農レポート

キウイフルーツかいよう病「新系統Psa3」の発生について

1.キウイフルーツかいよう病とは

細菌が、枝、新梢、葉、花蕾に感染して発生するキウイフルーツの病気です。
学名:Pseudomonas syringae pv.actinidiae(Psa)
本病原菌は、病原性の異なる4系統が存在し、各国での発生が見られます。これまで、日本ではPsa1系統の発生が認められていました。しかし、平成26年5月にPsa3系統が愛媛県において初めて発生が確認されました。なお、かいよう病の発生した樹から収穫した果実を食べても人への影響はありません。

2.発生について

本年、かいよう病新系統(Psa3)の発生が愛媛県で確認された後、福岡県、佐賀県、岡山県、和歌山県、静岡県、茨城県の7県での発生が確認されています。
「Psa3系統」は従来の系統より感染力が強く、場合によっては樹が枯死することもあります。東京都においては、現時点では発生が確認されていませんが、近県での発生もあり今後は注意が必要です。

3.病 徴

(1)枝や新梢では、2月頃から症状がみられ、傷口等から白色で粘質の細菌液が浸出し、後に暗褐色に変色します。罹病枝は発芽しないか、発芽しても褐変部より上部が萎れ枯死します(写真1)。
(2)葉では4月頃に褐色斑点で黄色いかさ(ハロー)を伴った病斑を形成しますが、「Psa3系統」はハローが明瞭でない場合もあります(写真2)。
病徴が著しい場合には落葉します。
(3)花蕾ではがくや花弁の褐変がみられます(写真3)。
(4)「Psa3系統」は緑肉品種より、黄肉品種で被害が大きくなります。
(5)菌の生育に好適な温度は15~20度程度です。そのため、盛夏期には症状が不明瞭になります。

  • 写真1
  • 写真2
  • 写真3

4.伝染方法

雨や接ぎ木、せん定ハサミなどの作業器具により伝染します。

5.防除対策

(1)苗等の導入に当たっては、生産地を確認するなど健全な苗木穂木を導入します。
(2)風当たりの強い園では、防風対策を行います。
(3)せん定ハサミ等、作業中に使用する器具は適宜ケミクロンG等で消毒します。
(4)切り口には、必ず塗布剤(トップジンMペースト等)を塗布します。特に主幹のせん定後の切り口は、塗布後ラップやビニール袋で被覆します。
(5)薬剤防除(予防)は下の表1を参考に薬剤を用いて行います。
(6)感染が確認された場合、発病部位(葉、枝、幹)の切除を行い、切除した残さは焼却するか、地表に露出しないように埋却するなど適正に処分します。

<<疑わしい症状が見つかったら>>
農業改良普及センターまたは、病害虫防除所へご連絡ください。

表1
  薬剤名 有効成分 使用方法 希釈倍率 使用時期 使用回数
収穫前 アグレプト水和剤 ストレプトマイシン 散布 1000倍 収穫90日前まで 4回以内
カスミン液剤 カスガマイシン 散布 400倍 収穫90日前まで 4回以内
収穫以降 樹幹注入 200倍 収穫後~落葉前まで 1回
アグレプト液剤 ストレプトマイシン 樹幹注入 1000倍
(200ppm)
収穫後~落葉前まで 1回
ICボルドー66D 塩基性硫酸銅 散布 25~50倍 収穫後~発芽前 -
コサイド3000 水酸化第二銅 散布 2000倍 収穫後~開花前 -
休眠期以降 銅ストマイ水和剤 塩基性塩化銅・
ストレプトマイシン
散布 600~800倍 休眠期~蕾出現前 4回以内
アグリマイシンー100 オキシテトラサイクリン・
ストレプトマイシン
散布 1000倍 落花期まで 3回以内
カスミンボルドー
カッパーシン水和剤
カスガマイシン・塩基性塩化銅 散布 500倍 休眠期 4回以内
散布 1000倍 発芽後叢生期(新梢長約10cm)まで 4回以内

(注)薬剤の登録内容は平成26年7月15日現在。使用する際には最新の登録内容を必ず確認してください。

キウイフルーツかいよう病「Psa3系統」の最新の情報については、農林水産省ホームページを参照してください。
※すべての病徴写真は愛媛県の承諾を得ています。